やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2023/11/28
インボイス制度/パーキング・メーター領収書とインボイス

[相談]

 私は会社で営業職に従事しています。
 私は、2023年11月に、都市部の時間制限駐車区間に営業車を駐車し、パーキング・チケット発給設備に所定の手数料を支払ったのですが、その領収書を確認したところ、インボイス(適格請求書)発行事業者の登録番号など、インボイスに記載が必要とされている事項(法定記載事項)の記載がありませんでした。
 そこでお聞きしたいのですが、上記のパーキング・チケット発給機の発給手数料やパーキング・メーターの作動手数料にかかる領収書には、インボイス登録番号などを記載しなくてもよいこととされているのでしょうか。教えてください。

[回答]

 ご相談のパーキング・チケット発給機の発給手数料やパーキング・メーターの作動手数料は消費税が非課税とされているため、それらの領収書には、インボイスの法定記載事項の記載は必要ないこととなります。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.時間制限駐車区間とは

 時間制限駐車区間とは、警視庁によれば、短時間駐車の需要に対応するため、道路状況、交通への影響や支障などを勘案して、駐車枠で指定した場所・方法に限り短時間駐車を認めるものとされています。

 また、道路交通法では、公安委員会は、時間制限駐車区間について、その時間制限駐車区間における駐車の適正を確保するため、パーキング・メーター又はパーキング・チケットを発給するための設備(パーキング・チケット発給設備)を設置し、及び管理するものとすると定められています。

 私たちが上記の時間制限駐車区間に駐車を行うときは、所定の料金(パーキング・メーター作動等手数料など)を支払う必要がありますが、この料金の性質については、警視庁によれば、駐車場料金ではなく、パーキング・メーター等の維持管理に必要な費用を、利用する人から「(行政)手数料」として納めてもらうものとされています。

2.消費税法上の非課税取引

 消費税法では、国内において行われる資産の譲渡等のうち、国、地方公共団体、法令に基づき国もしくは地方公共団体の委託もしくは指定を受けた者等が、法令に基づき行う許可、認可等の事務に係る役務の提供で、その手数料その他の料金の徴収が法令に基づくものについては、原則として、消費税を課さない(消費税非課税)と定められています。

 今回のご相談のパーキング・メーターの作動手数料やパーキング・チケット発給機の発給手数料は、上記の1.のとおり、行政手数料(警察手数料)に該当することから、消費税は非課税となります。

3.インボイスの交付義務がある取引とは

 消費税法では、適格請求書(インボイス)発行事業者は、国内において「課税資産の譲渡等」を行った場合において、その課税資産の譲渡等を受ける他の事業者(消費税免税事業者を除きます)から、一定の事項を記載した適格請求書(インボイス)の交付を求められたときは、その課税資産の譲渡等に係る適格請求書(インボイス)を、当該他の事業者に交付しなければならないと定められています。

 上記の「課税資産の譲渡等」とは、資産の譲渡等(事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供)のうち、消費税法の規定により消費税を課さないこと(消費税非課税)とされるもの以外のものをいうと定められています。

 今回のご相談のパーキング・メーター作動等手数料は、上記2.で述べた通り消費税非課税であることから、その手数料について、インボイスの交付義務はありません。

 したがって、パーキング・メーター作動等手数料の領収書には、適格請求書発行事業者登録番号(インボイス登録番号)その他のインボイスの法定記載事項は記載されないこととなります。

[参考]
消法2、6、57の4、別表第2、消基通6-5-1、道路交通法49、49の3、警察庁「交通規制基準」第4章第50、警視庁ホームページなど

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