やさしい税務会計ニュース
やさしい税務会計ニュース
文書作成日:2024/04/23
公的年金を受給中の従業員へ支給する給与への定額減税の適用要否

[相談]

 私は会社で給与計算を担当しています。
 当社は高齢者(日本の居住者)を積極的に雇用していることから、在籍中の従業員には公的年金を受給している者が数多くおります。
 聞くところによると、公的年金受給者については、公的年金受給額から控除すべき源泉所得税について定額減税が実施されるとのことですが、この場合、当社が公的年金を受給している従業員(甲欄適用者)に支給する給与から控除すべき源泉所得税についても、定額減税の計算を行う必要があるのでしょうか。教えてください。

[回答]

 ご相談の場合、貴社からその従業員に支給する給与から控除すべき源泉所得税については、定額減税の計算を行っていただく必要があることとなります。詳細は下記解説をご参照ください。

[解説]

1.令和6年に実施される所得税の定額減税の概要

 令和6年分の所得税については、定額による所得税額の特別控除(定額減税)が実施されます。具体的には、居住者(※)の所得税額から、原則として、下記の特別控除の額を控除するとされています。

  • @本人:3万円
  • A同一生計配偶者又は扶養親族(いずれも居住者に該当する人に限ります):1人につき3万円

※ 居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいいます。

2.公的年金に係る所得税の定額減税

 上記1.の定額減税は、給与だけでなく、令和6年6月1日以後最初に支払われる公的年金等から控除すべき源泉所得税についても実施することとされています。

 具体的には、公的年金等の受給額から源泉徴収すべき所得税(及び復興特別所得税)の合計額(控除前税額)から定額による減税額を控除し、控除しきれない部分の金額については、以後支払われる公的年金等に係る控除前税額から順次控除することとされています。

3.公的年金等を受給中の従業員へ支給する給与から控除すべき源泉所得税についての定額減税の適用要否

 国税庁によれば、上記2.の公的年金等に係る源泉徴収税額から定額減税の適用を受ける人についても、対象者であれば主たる給与の支払者のもとで定額減税の適用を受けることとされています。

 したがって、今回のご相談の場合、貴社に勤務する従業員が公的年金等を受給中であるとしても、対象者であれば貴社からその従業員に支給する給与から控除すべき源泉所得税については、定額減税の計算を行っていただく必要があることとなります。

 なお、公的年金等の受給者で給与所得もある人については、給与等と公的年金等との定額減税額の重複控除額が発生する可能性がありますが、国税庁によれば、その重複控除額については、確定申告で最終的な年間の所得税額と定額減税額との精算を行うこととされています。

 また、給与所得者が、主たる給与の支払者のもとで定額減税の適用を受けるか受けないかを自分で選択することはできないとされていますので、これらの点にもご留意ください。

[参考]
国税庁「令和6年分所得税の定額減税Q&A」(令和6年3月改訂版)など

※文書作成日時点での法令に基づく内容となっております。
 本情報の転載および著作権法に定められた条件以外の複製等を禁じます。



所得税の定額減税(月次減税)における「基準日在職者」とは2024/04/16
給与計算における「扶養親族等の数」と所得税の定額減税における「扶養親族」2024/04/09
年調減税における定額減税対象額は、住宅ローン控除適用前か後か2024/04/02
死亡した人の未支給年金を遺族が請求して受け取った場合の課税関係2024/03/26
所得制限額を超える人に対する令和6年6月以後の給与計算での定額減税2024/03/19
非居住者である扶養親族は所得税の定額減税の対象か2024/03/12
令和6年度分の個人住民税の定額減税の概要2024/03/05
令和6年分の所得税の定額減税における「扶養親族」とは2024/02/27
令和6年分の所得税の定額減税における「同一生計配偶者」とは2024/02/20
インボイス制度/2割特例適用の可否判断2024/02/13
インボイス制度/自販機特例を適用する場合における帳簿記載事項の変更点2024/02/06
インボイス制度/少額特例の適用判定基準2024/01/30
社員名が記載された簡易インボイスによる立替精算2024/01/23
要介護認定と障害者控除2024/01/16
令和6年度税制改正大綱/住宅ローン控除の借入限度額の上乗せ措置の内容2024/01/09
お問合せ
インターグロー税理士法人
〒460-0002
愛知県名古屋市中区丸の内2−14−4  エグゼ丸の内3F
TEL:052-220-4328
FAX:052-220-4368